★高学年の時に読ませたい本(4)のつづきです。 「フィンランド国語教科書小学5年生 日本語翻訳版―フィンランド・メソッド5つの基本が学べる」がお薦めです。
★フィンランド・メソッド5つの基本が学べるというのは、?です。5つのメソッドというのは
①発想力を引き出すカルタ
②論理力をつくる意見と理由、因果関係
③表現力を育てる発表と作文・物語
④批判的思考力を強化する「本当にそうかな?」と疑う
⑤コミュニケーション力を身につける議論
★これを眺めて「スッゴーイ!!」と思う人はいるんでしょうか。でもマスコミでは、そう騒いでいますよね。日経新聞2007年1月14日の記事の切抜きを見て、驚いたことにこんな見出しが載っています。
「学力世界トップ フィンランド 小さな教育大国 受験競争 無縁」
★それから記事の中にはこんなセンテンスも
基本的なカリキュラムは全国共通だが、問題の解き方を教えるのではなく、議論しながら自分の頭で問題を解く方法を考えることを重視する・・・。
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★昨日、日能研浦安校の保護者会に招かれ、来年の中高一貫校の動向と中高一貫校を卒業するときに生き延びている(伸びている)私学という観点でスピーチをしました。2教室をぶち抜いた会場でしたが満席で、スピーチ終了後、質問する保護者がたくさんいて、たいへん熱心な雰囲気だったのには感動しました。
★それにしても驚いたのは、頌栄と東洋英和、普連土、聖心、恵泉などのミッションスクールの違いについて聞かれたことと、6年生の現段階で、将来工学の道に進むから、工学系に強い学校について情報が欲しいという保護者も多かったということです。武蔵工大、芝浦工大という工業大学付属の話だけではなく、工学という世界がどう変わるのか、そこから推測して工学に強い付属ではない学校についても教えて欲しいと。
★もともと「もの作り」では日本は最高の技術を持っています。今後はそれにさらにグローバリゼーションに通用するクリエイティヴィティを有した人材が必要になってきます。クリエイティブ・クラスの台頭なのですが、そういう流れに対するアンテナが高い保護者の存在に感服しました。
★またこの話と一見関係ないようですが、ミッションスクールどうしの差異についての関心も実は同じことがいえるのですね。キリスト教学校の場合、どこも同じではないか、違いはそこにいる教師によって変わるのだろうぐらいしか感じないのが普通なのですが、説明会に行って、同じキリスト教でも微妙に何かが違うと感じるというのです。これはグローバリゼーションと創造性を培う自由に関する価値観あるいはものの見方の違いがあるのです。保護者は鋭い感覚を持っているということです。
★私学は変わらないところと変わる部分があります。キリスト教学校は、変わらない部分は共通ですが、変わる部分はそこが独自性になるのです。
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★高学年の時に読ませたい本(3)のつづきです。共立女子の先生方の日頃の教育活動の成果である「Kyoritsu研究報告31号」を拝読。その中に、国語の先生方が分析・検証している「『第三班 読書ノート』18年度実践報告」があります。
★生徒たちは読書の後に、自分の気づきを300字~400字ほどで「読書ノート」に書き込むそうですが、生徒たちが選んだ本の傾向やその選択基準について丁寧にアンケートの結果分析をしています。このような研究は、1人ひとりの生徒たちの感じ方や考え方を教師が共有できるので、成長のサポートに大いに役立つでしょう。
★さて、読む本の選択基準について、おもしろい結果が載っています。「教科書・本・インターネットの紹介」というのはグンと少なく、やはり「友達にすすめられた作品」、「先生方の手作りの『読書のすゝめ』の紹介を見て」「教室書棚を見て」というのが、徐々に増えているようです。
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★高学年の時に読ませたい本(2)のつづき。私立中高一貫校の教育について、自分の青春時代の体験をきっかけに論じる学者が増えました。また、あさのあつこさんの仲間たちも(体験なのかフィクションなのかわかりませんが)、中学受験を巡るリアルな出来事をトリガーに物語を展開しています。青春時代へのノスタルジックな思いと現在の中高生の感じ方考え方のあまりの差異に動揺している表現がおもしろいですね。
★宮台真司さんは、1959年生まれ。麻布から東大に進み、今は有名な社会学者。若手社会学者の憧れ的な存在。もちろん、祭り上げる人もいれば、良き論敵として憧れる人もいます。最近、社会学者の仲間達と「幸福論 <共生>の不可能と不可避について」(NHKブックス2007年3月)という本を発刊。その中で自分が四谷大塚に通ったのは6年になってからで、「地頭」がよければ、ガツガツやらなくても麻布や東大は入る時代だったと回想。この「地頭」とは、勉強プラスアルファーの部分、あるいは「人間力」、あるいは目に見えるものの背景にある目に見えないものへのアプローチができる能力とかいうことでしょうか。
★わりと保守的なというかコモンセンスなんで、宮台さんに憧れる若き思想家たちが戸惑い始めています。
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★高学年の時に読ませたい本(1)のつづきです。そこで「高学年の時に読ませたい本、それは中学受験によくでる本や作家の作品というわけにはいかない・・・。5年生あるいは6年生になったら、読書をする時間が実はないからです。」と書きました。
★その理由は中学受験を前提にした場合、たっぷり読書の時間をとれないからというのもあるからですが、読解力を身につける作業と読書は基本的に同じにしたくないという気持ちがあるからです。読解力は基本的には文章の表層ですね。深層にはあえて到らないのですが、読書は深層に突き進むわけです。
★深層も何層にもなりますね。従来の教養主義は、深層といっても第一層ぐらいです。麻布の氷上校長が宣言している新教養主義は、もっと深い層のことを言っていると思います。友達どうし、恋人どうし、どうやって理解し合うのでしょうか。他人の気持ちなどどうして了解できるのでしょうか。読解力で了解できれば苦労はしないわけですね。そこは年季がいる・・・。が、気持ちを説明する読解問題は、テスト問題で出題される。
★かつて日本女子大附属の国語で、「わたしはそのときの気持ちはわからなかった」というところに線が引いてあって、主人公「わたし」の気持ちを説明しなさいという問題が出題された。これはおもしろくて、生徒たちと大いに議論になったのを覚えています。嘘つきのパラドックスの話をしたり、言語が矛盾を一見抱える瞬間があることを語り合えた生徒たち。彼らは駒東や麻布、筑駒にやはり進学していきましたね。
★筑駒で母親がテーマの詩が出題されたときがあったんですが、どうしてこの母親が女性だという保証があるのか、もしかしたら本当は男性かもしれないではないかなんて議論をふっかけられて、それは読解力ではなく、読書の楽しみだなあと。で、筑駒受験の時には、そういう視点を貫くのかと聞いたら、それはそれで別ですと。
★生徒たちはテストと授業を分けられるんだと思いました。つまり読解力と読書を。
★とにかく、一般に読解リテラシーというのは表層でなければ困ります。新聞を読んで、眼光紙背に徹すなんて覚悟で読んでいたら、毎日が苦悶の連続でしょう(笑)。
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★高学年の時に読ませたい本、それは中学受験によくでる本や作家の作品というわけにはいかない・・・。5年生あるいは6年生になったら、読書をする時間が実はないからです。
★とはいえ、本が好きな子どもたちは、時間の合間を縫って読んでいます。麻布の説明会に参加したとき、父親と2人できていた受験生が、私の前の席に座っていたのですが、説明会を真剣に聞いて、ときどき息子に、「いい学校だな、やっぱり」と声をかけているのは父親でした。
★しかし、麻布の先生の静かだけれど、ときどき破格にもおもしろいことを放つその瞬間、その受験生は顔をあげるのです。まさに読書の極意をつかんでいるなあと感じました。本はおもしろいから読むのですから。おもしろいの原点は、「ウム、ナンダ」「ナルホドネ」「アっ!」「へええええ」」という感覚。
★この感覚は、本を読んでいるときだけではないですよね。人の話を聞いているときにも、音楽を聴いているときにも、スポーツをしているときにも生まれます。茂木健一郎さんがアハ体験と言いますが、アハ体感とでも言っておきましょうか。このアハ体感をいろいろな場面で感じることができれば、それは読書体験と同じです。
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★低学年の時に読ませたい本(2)のつづきです。しかし、今回は「本当に」という言葉を挿入しました。
★実は読書というのは、いろいろな目的で読むわけですから、その目的に応じて本を選択すればよいので、これがオススメというのはあるといえばあるし、ないといえばないというのが本当のところです。
★しかし、低学年のときどうしてもこれは読んでおいて欲しいという本があるのです。
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★ずっとこさんの「麻布の入学式」の記事読みました。中学受験はキビシイ!:中学生の朝 のtakeママさんコメントを読んでの感想が書き込まれていました。
「文化祭実行委員の派手なパフォーマンスに爆笑、管弦楽部の伴奏で校歌で涙。有名校では勉強だけでなくスポーツのレベルも高いというケースはよくあるような気がするいのですが、文化系のレベルも高いんですねたぶん。」
★とさりげなく書いていますが、麻布のリベラルアーツの性格を的確にとらえていますね。さすが「子育てアパ」。
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★低学年の時に読ませたい本(1)のつづきです。本を読む動機やきっかけは、何でもよいと思います。私が今まで出会った子どもたちが本を読むようになったきっかけはいろいろあります。
①幼い頃からお母さんが読み聞かせをしていた。
②家族みんなの趣味が読書だった。
③父親が休みのとき、必ず小さな本屋さんで立ち読みしに行ったのについていき、いっしょに立ち読みしていた。
④父親の書斎に本が一杯あったので、いつの間にかかたっぱしから読んでいた。
⑤毎月全集を1巻ずつ買い与えられた。
⑥友達とよく図書館に行った。
⑦ディズニーランドで、キャラクターが好きになり、童話を読むようになった。
⑧ゲームの攻略本を読むうちに、いろいろな本を読むようになった。
⑨ドラえもんと物語の共通性に気づいておもしろくなった。
⑩将棋のノウハウ本を読まざるを得なかった。
⑪おかあさんに読書が大事だといつも言われた。
⑫理科が好きだったから。
⑬昆虫や動物が好きだったから。
⑭サッカーが好きだったから。
⑮劇でシナリオを読み込んだ。
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★「低学年の時に読ませたい本」。ちょっとストレートなお題ですが、親が子どもにどうかかわるかという親自身の学びのためには大事なクエスチョンかもしれません。
★この本を読みなさいというのは、おそらくかかわり方としては、今の世の中流行らないのかもしれません。しかし、自分の子どもがどういう本をおもしろいと思うのか思わないのかに興味を持つには、こんな本を読ませたいという「内的参照書籍リスト」を作っておくことは、子どもの成長を見守っていくにはポイントかもしれません。
★それから、高学年になって、学校選択をするときにも役に立ちます。国語の中学入試で、どういう文章を選択しているかによって、その学校の先生の授業の質が見えてくるからですね。
★たとえば、湘南白百合の先生などは、今の子どもたちがどういう本を読んでいるのかということについて、生徒たちと話し合ったり、そっと見守りながら、子どもたちの好奇心・関心・悩みなどを十分に了解した上で、出題する文章を選択するそうです。子どもたちが読んで感動できないただ難しいだけの文章を出題しても、文章が壁になって、どんなによい問いかけも考えられないで終わってしまうからでしょう。文章は子どもたちの目線にセットして、問いかけベースで、思考力・表現力を見ていかなければ、1人ひとりのタレントを見出せないということだと思います。
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★国際交流体験を論理と発想につなぐ~麻布に学ぶ(3)のつづきです。二週間のフランス体験をした麻布生(高校1年)Fさんのリアルな感じ方について見ていますが、次のFさんの言葉の感覚も鋭いですよ。
「・・・いろいろな友達と話して思ったのは、年齢はあまり関係なく対等に付き合っていることだ。母に、外国では主張しなければついていけない、とよくいわれてきたが、『主張する』というのは。言葉に出すことだけの意味ではなく、」
★「『主張する』というのは。言葉に出すことだけの意味ではなく」と通り一遍の意味で通り過ぎず、捉え返す感覚がスーッと生まれているところがこれもまた麻布のミーム。メタ視点とか複眼視点とでも言えばよいのかもしれませんが、この言語感覚が国際交流というか旅には必要です。
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★国際交流体験を論理と発想につなぐ~麻布に学ぶ(2)のつづきです。麻布学園国際交流委員会発行の「国際交流」(第11号2007年3月1日)から紹介していますが、今回は二週間のフランス体験をした麻布生(高校1年)Fさんのリアルな感じ方について見ていきたいと思います。
「二週間の間、僕はとても積極的に活動したし、それだけに大切なことを学んだ気がする。帰ってきてからは、まるで文化祭をやり終えて完全燃焼してしまったスタッフのように、二学期の半分をいい加減に過ごしてしまった感じがしている。」
★こういうフレーズから始まるのですが、見逃せないのは、「集中力」ということですね。ここにも旅の奥義があります。集中できる時空が旅の体験の大事な要素です。しかし、それは海外経験をしなくても、麻布の中にそれと同じ構造の時空があるということに、Fさんは気づいているんですね。留学体験も、実は麻布体験と重なるのです。国内外を奔走した江原素六の行動力が、麻布のミームとしてハビトゥスとしてあるのです。
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