東大の問題で、≪マルいハート≫と≪マルいアタマ≫を考える
★今年の東大前期の現代文の問題の一部で、≪マルいハート≫と≪マルいアタマ≫を考えてみましょう。
詩におけるさりげない1つの言葉、あるいは絵画におけるさりげない1つのタッチ、そうしたものに作者の千万無量の思いが密(ひそ)かにこめられたとしても、そのように埋蔵されたものの重みは、容易なことでは鑑賞者の心に伝わるものではあるまい。作品と鑑賞者がなんらかの偶然によってよほどうまく邂逅(かいこう)しないかぎり、その秘密の直観的な理解はふつうは望めない。
設問(一) 「その秘密の直観的な理解」とあるが、どういうことか、説明せよ。
★まずは自分なりに考えてみてください。
★この問題は別にテクニックなど不要です。≪マルいハート≫と≪マルいアタマ≫があればわかるはずです。それに、この文章は、清岡卓行さんの「手の変幻」から出題されています。高校現代文の教科書の素材文として引っ張りだこです。ということはフェリスや女子学院の中学入試で出題される随筆のレベルと同じです。
★むむむ。ということは中学受験生でも≪マルいハート≫と≪マルいアタマ≫があればできるということです。恐るべし中学受験生。
★言葉というものは、関係(つながり)でできています。
①同じ内容が並んでいる関係
②具体と抽象の関係
③対照的な関係
④理由と結論の関係
⑤比喩の関係(たとえる表現とたとえられる内容の関係)
★①から④は≪マルいアタマ≫で論理的に分析したり総合したり。⑤は≪マルいハート≫で比喩的な表現の背景をパーッとイメージする。そうやって文章は読んでいきますが、さて東大のこの文章はどんな関係(つながり)になっているでしょうか。
★まずは、「その秘密の直観的な理解」という傍線を含む文の前の部分(第一文目)と傍線部分の関係が具体と抽象の関係になっているということに気づきましたか。「その秘密」とありますからね。指示語が指す部分は、具体的な内容の部分のはずというのはすぐにわかると思います。するとその部分をまとめるのが第一段階です。
★かりにそこの部分を、「○○○」とまとめられたとしましょう。すると【「○○○」の直観的な理解】というのが解答になりそうだということが推測できます。しかし「どういうことか説明せよ」とは「その秘密」の部分だけではないですよね。「直感的な理解」も説明せよというのが問いですから、この部分も言い換えなければなりません。
★「作品と鑑賞者がなんらかの偶然によってよほどうまく邂逅(かいこう)しないかぎり、」という部分を「~邂逅すれば」とすれば「理解できる」に結びつきます。ここは③と④のつながりを見破ればよいわけです。もちろんふだん読んでいる時は、こんなことは意識して読むことはしませんが。
★ともあれ、これで「その秘密」と「直観的な理解」の部分を説明する見通しが立ったわけです。今のところは、まだ≪マルいアタマ≫しか使っていませんが、次のステップではいよいよ≪マルいハート≫で美しく。(つづく)



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